生活習慣病改善外来このページを印刷する - 生活習慣病改善外来

生活習慣病改善外来

生活習慣病とは

生活習慣病とは生活習慣の乱れ(過食、塩分過剰、運動不足、喫煙など)よって引き起こされる病気の総称で、放置すると動脈硬化を引き起こします。我が国の3大死因のうち、心疾患(第2位)と脳卒中(第3位)は動脈硬化が引き金となるため、生活習慣病を予防し治療することは大変重要といえます。しかしながら、その初期には自覚症状がないことが多く、知らないうちに病気が進行してしまうおそれがあります。早い段階で日常生活を見直すことで健康状態の改善が期待できます。当院では生活習慣病を早期診断し、合併症としての血管病を予防し改善することを目的とした生活習慣病改善外来を開設しています。

代表的な生活習慣病

  1. 高血圧
  2. 糖尿病
  3. 脂質異常症
  4. 肥満・メタボリックシンドローム



1.    高血圧

高血圧とは,血圧が基準値を超えて高く維持されている状態です.我が国では患者数4,300万人といわれており,国民病ともいうべき疾患です.ところが,医療機関を受診している患者さんとなると900万人程度です.これは高血圧だけでは症状がないことが多いためで,血圧が高いということに気づいていない患者さんも多いのです.高血圧を放置しておくと動脈硬化,狭心症,心筋梗塞,心不全,脳梗塞,あるいは脳出血などの心血管疾患の原因となります.
高血圧のなかでも遺伝,塩分の過剰摂取,肥満,ストレス,喫煙などの原因が絡み合って発症するものを本態性高血圧と呼んでおり,約90%を占めています.残る10%が二次性高血圧と呼ばれ,腎臓や内分泌臓器の異常から血圧が上昇する疾患群です.
 

2.   糖尿病

糖尿病は慢性的なインスリン作用(あるいは分泌)不足により高血糖状態をきたす疾患です.健常人では,空腹時の血糖値は110mg/dl以下,食後は200mg/dl以下ですが,糖尿病状態では血糖値が上昇してきます.自己免疫異常により,インスリンを合成する膵細胞が破壊され,インスリンが欠乏する1型とインスリン分泌不足あるいはインスリン作用不足(抵抗性)によって高血糖をきたす2型に分類されます.多くは2型で,近年,50歳以上の人の約10%が2型糖尿病に罹患していると言われています.
糖尿病の症状は,口渇,多飲,多尿,多食,体重減少,疲労感などがあります.特有な合併症としては,3大合併症といわれる網膜症・腎症・神経障害があります.これらの合併症は失明,腎不全ならびに足の壊疽などの原因となります.さらに糖尿病は動脈硬化を進行させ,管理を怠ると心筋梗塞や脳卒中などの血管病を発症してしまいます.
 

3.    脂質異常

血中のコレステロールや中性脂肪が増加する状態を脂質異常と呼んでいます.脂質異常症には,大きく分けて次の3つの型があります.
(1)高LDLコレステロール血症
(2)低HDLコレステロール血症
(3)高中性脂肪血症
脂質異常は動脈硬化の危険因子ですので早い段階で診断し対策を立てることが重要です.放置すると,高血圧や糖尿病と同様に動脈硬化が進行し,心筋梗塞や脳卒中などを発症してしまいます.家族性高コレステロール血症といった遺伝性の脂質異常もみられますが,原因の多くは高カロリー高脂肪の食事と運動不足です.家族性高コレステロール血症では眼瞼黄色腫やアキレス腱肥厚などの症状がみられることがありますが,多くは無症状であり血液検査で初めて指摘されます.生活習慣の是正を数か月続けても管理目標値に達しない場合は薬物療法を行います.
 

4.    肥満症とメタボリックシンドローム

肥満とは脂肪組織が過剰に蓄積した状態のことです.通常,「体重(kg)÷身長(m)の二乗」で計算されるボディマスインデックス(BMI)が25以上の場合を肥満と定義しています.肥満に健康障害を合併した場合を「肥満症」と呼んでいます.肥満に関連した健康障害として,無呼吸症候群,腰痛,下肢痛,高血圧,動脈硬化,胆石,痛風,糖尿病,悪性腫瘍など,多くの疾患があげられます.近年,高度肥満でなくても腹部に内臓脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満(上半身肥満)においては,高率に高血圧,糖尿病,脂質異常を合併しやすいことが分かってきました(メタボリックシンドローム). 肥満の原因は遺伝的なものもありますが,多くは過剰なエネルギー摂取,運動不足が原因であることから,生活習慣を是正することにより改善が期待できます.

診療内容

循環器医師を中心に看護師,管理栄養士,理学療法士が患者さんの生活習慣病の改善を目指します.

1 問診・診察

生活習慣病の予防・改善には,まず現在の健康状態をしっかり把握することが必要です.問診(身長・体重・BMIを含む)と診察の結果に基づき,担当医師がその後の検査や治療の進め方についてご提案します.

2 診察

初診時には通常,検尿・血液生化学検査・血糖・HbA1c・血液流動性測定・心電図・X線検査などで病状を把握します.その結果,合併症の疑いがあれば,心エコー・血管内皮機能検査・インボディ・頸動脈エコー・ホルター心電図などで,血管病変や心疾患の有無について検索します.

■血液流動性測定:
採血した血液を毛細血管モデルに流しその流れる様子を顕微鏡で拡大しながらモニ ターに映し出し,血液のサラサラ具合を測定します.

■血管内皮機能検査:
血管の内面を覆う内皮細胞の機能が低下すると動脈硬化が進行します.この内皮機能を測定する検査です.上腕を駆血し,その前後の血管径をエコーで測定し,動脈の拡張度を判定します.

■インボディ:
家庭用の体脂肪計と同様の原理で,ごく微弱な電流を体内に流し,身体の水分量を測定する装置です.

■頸動脈エコー:
頸部の動脈壁の厚さ(動脈硬化)を測定する検査.頸動脈の動脈硬化が進んでいると他の動脈(心臓・脳)の動脈硬化も進んでいると考えられます.

ホルター心電図:
長時間(24時間)心電図を記録する装置で,不整脈や狭心症の診断に有用です.
 

3. 治療

改善が必要な状態に対しては,管理栄養士による食事指導・理学療法士による運動療法の指導・薬物療法などを組み合わせて行います.運動療法を行う際は,事前に心肺運動負荷試験(CPX)を行い,運動耐容能(体力)を評価して,各人に合った安全な運動量を決定します.

 

さらに必要に応じて糖尿病外来などの専門外来を受診していただきます.また,一定期間の検査加療入院をお勧めする場合があります. 引き続き外来での治療が必要であれば,当院の循環器外来で加療を続けますが,ご希望の医療機関にご紹介することもできます.

心肺運動負荷試験(CPX):
心臓・肺・筋肉の状態を総合的にみながら運動耐容能(体力)を評価する検査です.心電図・血圧・呼吸中の酸素と二酸化炭素濃度の測定を行いながら運動(自転車こぎ)を行います.

診察時間

診療時間
9:00~12:00 宮﨑 麻生 宮崎 麻生
※予約制です。
 予約ご希望の方は、電話(0977-24-1221 内科外来)までご連絡ください。
※本外来は保険診療の対象となります。